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唐松岳。 [trekking]

2011年4月30日(土)のお話。

4月の遠征は残雪期の後立山連峰を見たい一心で計画したのに…雨降り。
天気予報に裏切られ、これなら前日に歩いた方がまだマシだった気がしなくもありません。
とまぁ、そんなこと言っても始まりませんので、久しぶりの雨降り山行もいいじゃないかと、
自分に言い聞かせ、残雪期でもピークを踏んで日帰り可能な北アの唐松岳を歩いてきました。

まずは日帰を可能にしてくれている八方アルペンライン(往復2,600円)で労せずピックアップ、
そしてルートとなる残雪期の八方尾根は緩やかに直登出来るので夏道よりもショートカットができ、
尾根自体も広く場所によっては何本もトレースが付いています。
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当日は下山者の方が多く、翌日の雨予報が影響しているのかもしれませんね。
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雨が降っているも雨雲は高く、周囲の山々は何とか顔を見せてくれていました。
不帰ノ嶮の岩峰郡が雪を被っています。
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南側には真っ白な五竜岳。
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そして高度を上げて行くと、いよいよ唐松岳が顔を覗かせてくれました。
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そんな稜線上まであと少しのところで何やら聞きなれない音が…ゴゴゴゴゴォ~と。
何度も何度もゴゴゴゴゴォ~と聞こえてきます。
沢の雪が雪崩れているのか?と思っていた時、ピカッと閃光が走ると同時にドカンと炸裂音が。

雷!?

もう立っても居られず雪面に屈みこんでいると、更に雹(ひょう)も落ちてくる始末。
いくつもの雷をやり過ごし、稲光も音も麓の方に流れていく…

何とか無事にやり過ごして足早に稜線上へ移動。
そこには昨年9月にお世話になった唐松岳頂上山荘が見えます。
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しかし、今度は烈風が待ち受けており、まったくもって歩けない。
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一歩一歩、時間をかけながら確実に歩みを進めていると、いつしか周囲はガスに包まれ視界不良。
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更に悪いことに包まれているガスは雷雲のようで、再び稲光と炸裂音の渦中に…
もう立つのが怖い…
ピッケルとザックを岩陰にデポしてカメラ一つ、空身で這い蹲りながらとにかくピークへ向かう。
そして一枚。ナゼかセピアモード…
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焦っていたのでしょうね。

その後…
一目散に山荘へ避難して、雷雲が過ぎ去るのを待つも一向にその気配はなし。
八方アルペンラインの最終16時に間に合わせるには、山荘を14時がリミット。
時間ギリギリまで下山するかを悩み…結局、下山を敢行。

P4301430.JPG
雷のなか、何もない尾根を濡れた身体でピッケルを持ち、アイゼンを付けての下山はさすがに辛い。
体力はもとより、精神的に応えます。
何かの本に『山で雷に遭い撃たれないのは“運”』だとも…相当、運を消費したと思います。

そして運を使いながら無事に下山して八方アルペンラインに着いた時、
最終時間前に着いたにも拘らず、ナゼかリフト駅のシャッターが閉まっています。
「雷雲の発生により閉鎖」ですって…おい。
雷が落ちている中、わざわざ恐ろしい思いをして下山してきたのに…
とその時、運良くシャッターが開き中から人影が、事情を話すと動かしてもらえることに…よかった。

そんな激動な山歩きとなってしまった唐松岳の残雪期山行も無事に帰ってくることが出来ました。
美しい顔を見せるのも、恐ろしい顔を見せるのも、どれも同じ山。
山も人間同様に色々な表情をするものですね。

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